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長岡美代が 『介護ビジネスの罠・ 10兆円の巨大市場に 巣くう悪徳業者たち』 (講談社現代新書) を書いている。 お金が無い高齢者の 要介護状態は、 「介護保険制度」から 利益を引き出すための 餌(えさ)と化して いるというリポートだ。 「この悪徳業者を見よ」 と長岡美代はいう。 だが、本当は、日本人の 多くは、この現実を 許容していることが問題なのだ。
平成27年10月16日付の日本経済新聞に、「介護施設」が要介護の高齢者にカジノやマージャンを提供している、これを規制する条例が制定されたと報道されていた。 神戸市や兵庫県だ。 ルーレットとかスロット・マシーンなどのバクチ行為の規制は全国で初めて、という。
厚生労働省は、カジノやパチンコ、マージャンも「自然と頭を使う、体も動かす。高齢者の自立をうながし、介護の予防にもつながる」として「現時点では規制は検討していない」としている。
医療法人の介護事業所「杏の里Ⅰ・Ⅱ」の石橋正子事務長(61)はこういう。 「孤立しがちな高齢者に運動などの参加を促すうえでカジノなどの娯楽性の高いプログラムは有効なはずだ。明確な線引きがないまま、規制するのは乱暴ではないか」。
平成27年10月12日付の日本経済新聞の「核心」欄の記事だ。フィンランドの介護施設の話が紹介されている。 「予防に勝る認知症の治療はなし」という考え方にいきついた。 カンピン高齢者サービスセンターでは「要介護者を増やさないようにしている。高齢者が自宅で暮らしつつ、社会とのつながりを保ち、孤独感を抱かないようにしている」(筆頭インストラクター・トウイヤ・エパイルスの話)。 日本人には、この「社会とのつながりを保つ」というものの考え方、即ち「脳の働き方」が無い。 |