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認知症(痴呆症)とは、 もの忘れのことだと思われている。 正しくは、「新しいことを 憶えられない」(前向性健忘症)、 「ボーッとして白日夢の 状態になって、先見当識を 起こす」(食事をしない、入浴しない、 遅刻する、衣服を 着替えないなど)、のことだ。 「人格の変化」という「行動の 秩序」の能力の原始的な 退化も認知症(痴呆症)だ。 対策を教える。
文月空子さん(仮名・40歳)は、地方公務員です。父親も地方公務員でした。停年退職して家にいます。 「母親が、ちょっとおかしいんです。料理の調味料を間違えたり、どこかに電話して怒って話しつづけて、いつまでも止めないんです。 怒って話しながらどんどん興奮して、激しさを増します。 トイレのドアを閉めない、玄関の戸を閉めない、台所のガス台の火をつけたまま買い物に行くということがひんぱんに起こります」。 文月空子さんの母親は、「人格の変化」がいちじるしいので、娘の空子さんは衝撃をうけています。もともとの「性格」は、優しくて、人に対してイバる、という人ではありませんでした。 左脳の中の言葉のもつ秩序とか、ルールという能力が低下すると、「右脳」の感情を表象するイメージだけが思い浮んで、もともとの「性格」と真逆の「性格」が露出して先鋭化(せんえいか)します。 一般的に、アルツハイマー型の認知症の「中核症状」があるといわれています。
「私の母親は、夜になると心配ごとが頭に思い浮ぶようなのです。将来はひとりになって孤独になる、どうしよう、とか、変な病気になって苦しい思いをするようになったらどうしようとか、不況になって物価が上がり、ギリシャのように国の財政も破綻して公共料金も払えなくなったらどうしようなど、明らかに被害妄想をしゃべります。 次の日、昼間は、自分が言ったことを忘れています。母親の話すことには酒に酔った人が話すような飛躍がおおいので、聞いているだけで辛くなります。 悲しみが限界にきたと思えば施設に預けようとおもいます」。 アルツハイマー病は、左脳のデジタル脳の脳細胞の変性症です。パソコンやケータイの通信状態が悪くなったような、思考上の障害のことです。 しかし、だからといって誰もが「性格の変化」や「被害妄想」のような周辺症状をあらわすわけではありません。 |