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人間の世界はルール、きまりで 成り立っている。 社会秩序、大勢の人間の 行動のモラルの二つだ。 アスペルガー症候群の 行動秩序は、この二つの 秩序とは関係ないと 分かって幸せになった物語。
『ぼくはアスペルガー症候群』(彩図社)を書いた権田真吾さん(42歳、コンピューター関係の会社員)の話がケーススタディです。 「ぼくは、仕事の中で仕様書を見ているのに見落す、発達伝票を貼り間違えて、誤って発送する。一度、二度なら健常者でもおこす。だが、アスペルガー症候群のぼくは、このたぐいのミスが人よりも多い」。 何度目かの発送ミスを起こしたとき、上司が言った。 「会社の信用にかかわる。その仕事はもうやるな」。 パソコンを運んだり、開梱しかさせてもらえなくなった。
このことを家に帰って妻に話した。 「それだったら二重チェックをしてもらったらいい。ミスは防げる。どうして二重チェックをおこなわないのかしらね」。 権田さんはここでこう考えました。 「ぼくに限らず、誰もがミスをする可能性がある。二重チェックは必要だ」。 上司に「二重チェック」をするように申し出ました。 「二重チェックをすればミスは防げるだろう。だが、他のメンバーに負担をかける。よって二重チェックはできない」。 権田さんは考えます。 「二重チェックのシステムを導入すればいいものを、なぜ、かたくなに拒否するのだ?」
権田さんは、仕事のミスを起こす原因について説明します。 「アスペルガー症候群の人は、仕事に対する精神的なキャパシティが小さい。 作業が負荷となり、負荷が強くなるとパニックを起こす。 日々の仕事に加えて別の仕事が入って気が変になったことがあった。仕事の納期も気になる。初めての仕事に対応できるか。 休日も心配がつづく。 ぼくは強いストレスに悩まされた。 ぼくは、プレッシャーにとても弱い」。
ポルソナーレのカウンセリングです。 権田さんの説明を見ると分かるとおり、「仕事のミス」は、権田さん自身の問題です。妻から言われて、「他の人もミスを起こす可能性があるから、二重チェックシステムを導入すべきだ」と考えます。そして上司に申し出ます。 しかし、上司は、「他の人がミスを起こしているのではない。権田さんのミス防止のために労力もコストもかかる二重チェックシステムを導入することはできない」と言います。 これに対して権田さんは、「なぜ、かたくなに拒否するのか?」と不満を表明します。 よくよく考えてみると、他の人には起こらないパニックを起こす、プレッシャーに弱いことがひんぱんに起こすミスの原因です。 |