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自分へは親しく親切にして くれる人がいる。しかし、自分以外の 人のことはウワサして笑い 者にする。だからコワイし、 信じられない。これは全部、 内扱いがつくると分かって、 幸せになった物語。
四月藻末子さん(28歳・仮名)は、人が信じられないと思っています。会社の人から嫌われている、イジメられている、というのではありません。 会社には、女性社員が10人くらいいます。化粧品を売るのが業務です。リーダーの女性は仕事の能力も高く、人望もあります。 四月藻末子さんはリーダーの女性から好かれています。他の女性社員からも可愛がられています。 「表では、どの人もいい子ぶっているんですよ。カゲでは、お互いの悪口を言っているんです。私のこともこんなふうに笑い者にしているのでは?」 くやしい、許せないと思うと、話をしているとシラけてくる、怒りもこみあげてくるといいます。
四月藻末子さんは、人が信じられないという思いを母親に話しました。 「あなたは要領がわるい。 もともと人とはそういうものなのよ。好きです、おかげで命を救われました、と言って恋愛関係になった人が、嫉妬したり、別の人を好きになって同じことを言うってことがあるのよね。 キリスト教では、イスカリオテのユダといって聖書にも書かれているくらい、背信というのは人間事象のひとつなの。 人間は信用できなくても、社会的な関係は信用できるって教えなのよ」。
四月藻末子さんは、人と話すのがニガテです。人と話をするとき、話の初めの1分か2分はいいのですが、少し話が長くなると相手の人の顔を見ていられなくなります。目のやり場に困ります。だから、下を向いたり、横を向いたりします。同じ人間なのに、いつまでも会話をつづけられたり、どんどん話せる人を見ると、なぜ、そういうことができるんだろうと思います。 「わたし、親と話しても苦しくなります。顔を見れないんです。だから、スマホを見ながら話を聞きます」
四月藻末子さんは、いちばん困るのは、人と話をすると、だんだん目がひきつることと、顔が赤くなることです。とくに仕事のことなのに、営業担当の男性から話しかけられると、自分でもおかしいと思うくらい顔が赤くなるといいます。 「お客様がおみえになったときに質問にお答えするだけなのに顔が赤くなります」 人と話すことが恐くなってから、人がだんだん遠ざかっていくのがよく分かって、家に帰って泣くというのはしょっちゅうです、といいます。
ポルソナーレのカウンセリングです。 四月藻末子さんが困っていることは、ひとくちにいうと「行動の止まり」という心と精神のトラブルです。多くの日本人は、この「行動の止まり」をいろいろな症状であらわしています。もともとの原因は、ひとり、ひとりの性格にあるのではなくて、日本語の「文法」の已然(いぜん)と未然(みぜん)というしくみにあります。古代の日本人は、この「行動の止まり」に気づいて、対策を立てました。 |