[3665-3] 谷川うさ子 2015/02/24(火)13:34 修正時間切れ
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●聴覚と視覚と触覚
わたしは、高校生になりました。 長姉が月謝を出してくれたからです。次姉も、長姉が月謝を出してくれたので高校に行けました。 高校生になったわたしには友だちがひとりもいなくなりました。 「あなたの目が嫌だ」 最後の友だちのひとりが言いました。 わたしは、人の目を見ると目や顔が急に大きく見えるのです。迫って来る感じがします。 映画やテレビで、危機が迫ってくるときに効果音が鳴り響きます。 ジャン、ジャン、ジャン、ジャンジャン、ジャジャーンという効果音です。画面がクローズアップになります。人と向い合って話すとこんなふうに、言葉や声よりも、目が異様に大きく見えます。 相手の人の目ばかりを見つめるので不安がられます。相手の人は、目をそらします。だからわたしも、ふいっと横の方を見てしまいます。
●再会して、言葉を聞き、目を見る
結婚してくれた今の夫は、「目なんか見なくてもいいよ、いつか笑い合って話せる日がくるよ」と言ってくれました。 長男が生まれました。 小学生になったころです。 玄関先で長男に話しかけると、聞いていないフリをして学校に行くことがありました。 ああ、わたしの言葉や声が遠くに聞こえるんだなあと思いました。 これではいけないと思ったのです。
探して、家を出て行った母親と会いました。家を出ていくときにお腹にいた子どもは女の子でした。 すっかり成人してステキな女性になっています。 母親と会うとき、妹もいっしょに会いました。 「お姉さん」と言ってくれました。目を見て顔も見て、「お幸せそうですね」と言ってくれました。 わたしは、胸の中が熱く高鳴りました。 「はい。おかげさまで。東子ちゃんもお元気?」と話します。もちろん目を見て、にこにこ笑顔で、妹と母親の顔も見ます。声も言葉が、耳に心地よく春のそよ風のようです。口笛を聞くようです。
■ポルソナーレのコメント
日本人の脳の働き方は、聴覚が弱いのです。人間がものごとを分かるときは、視覚が40%、聴覚が30%、触覚が17%です。しかし人間の心、気持ちは、聴覚をとおして脳の中に入ってきます。 人の心、気持ちを分かるには、聴覚のための学習が必要です。 日本語は、どうしても聴覚を低く扱います。 ポルソナーレのゼミでは聴覚のための学習を重要視しています。 楽しい会話、心を通い合わせる対話のために学習をおすすめします。 |
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