[3661-4] 谷川うさ子 2015/02/03(火)12:26 修正時間切れ
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「楽しい日々がつづいたのは、3年間だけでした。 五郎さんは180度ガラッと変わったのです。 私よりも、男の友だちと付き合うことを優先しはじめました。 高校を卒業したら結婚しようと言ってくれていたのです。 それが、突然、大学に行かなくっちゃと言い始めました。私は、結婚するものとばかり思っていたので、勉強はしていなくてトリ残されたのです」 日本人の多くの男性は、視床下部の背内側核に空間認知の機能をもっています。だから、性の欲の対象に向かってダイナミックに行動できます。行動できるのですが、行動するとは限りません。 認知の機能はもっていますが、認識の機能はないからです。 話をするとか、説明するとかの能力が認識です。「自分はこうした」「自分はこう思う」というのは説明ではありません。 「なぜならば」と言えるのが認識です。五郎さんは、この「なぜならば」と言える男性にならなければ、と考えたのかもしれません。 町子さんは、性の関係をとおして男性のこのようなものの考え方の世界の入口を少しだけ見たのです。だから、「五郎さんの気持ちって何だったのだろう?」とずっと気になりつづけてきたのでした。 「でも、まだ分からない」というのが町子さんの「人は自分のことをどう思っているのか?」という不安だったのです。
「そういえば」と町子さんは言います。 「我が家には男性が3人もいます。昔の五郎さんのことばっかりを思い出しては気にしつづけていました。 本当は、男性の夫、男性の2人の子どもたちとお話をすればよかったんですね。あなたはどうしたのか?ではなくて、このものごとについてどう考えますか?っていう会話をすべきでした」 町子さんはこんなふうに話します。 日本の女性も、脳に認識の機能をもっています。しっかりお話をすると、どんなことでも「これは正しい」「これはちょっと変だね」と判断するために脳は働きます。 がんばれ、がんばれ町子さん。町子さんの表情はバラの花が咲いたようにものすごく豪華に見えました。 |
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