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空気が読めない。 まわりのことが目に入らない。 怒られるとパニック。 これはアスペルガー症候群の症状。 脳の働き方が分かれば 対策は簡単という物語。
『ぼくはアスペルガー症候群』(彩図社)を書いた権田真吾さん(43歳)の告白がケーススタディです。 平成26年8月に初版が発行されています。平成27年6月には第12刷ですから、アスペルガー症候群にかんしての関心の高さがうかがえます。 権田真吾さんによれば、アスペルガー症候群とは、「言葉の意味が、ふつうの人よりももっと極端に理解できない」ということであるようです。 「言葉の意味」を考えないのではなくて「この言葉の意味はこういうものだろう」と非常に曖昧に、ぼんやりとしか理解していないといいます。
「小学生のころ、こんなことがあった。母親から留守番を頼まれた。このとき、他人を家に入れてはいけませんと命じられた」。 その日、伯母さん夫婦が訪ねてきました。 「家の中に入れて」と言います。 「ぼくは、お母さんから誰も家に入れてはいけないと言われているんだ」と伯母さんに言います。 小学生の権田さんは、ドアのカギをはずして伯母さん夫婦を家の中に入れませんでした。伯母さん夫婦はしかたなく車で帰っていきました。
ここで権田さんは、母親の言葉の「他人を家の中に入れてはいけない」を「誰も入れてはいけない」の意味にとらえています。日本人は、「内の人」「外の人」と人間を分類します。「他人」とは家族、親族など血縁関係以外の人をさします。伯母さんは、母親か父親のきょうだいの人です。すると日本人の「内扱い」「外扱い」の対人意識からおしはかると「他人」ではないわけです。 「アスペルガー症候群の人は、言葉を字義通りにとらえる。だから、伯母さんはなくなく帰っていった」と権田さんは説明しています。 アスペルガー症候群の人は、言葉の意味を「字義どおりに学習しない人」と判断するのが正しいのです。
権田真吾さんは、自分のことをこんなふうに自己紹介しています。 「ぼくはアスペルガー症候群の男性である。42歳の男性だ。みなさんは、アスペルガー症候群という障害をご存知だろうか?」
アスペルガー症候群とは、自閉症である、知的発達の遅れではない。 「人付き合いがニガテ」「その場の空気が読めない」「人の話を聞く能力に劣る」「ちょっと変わっていると周囲の人は見る」と、権田さんは説明します。 |