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平成27年9月27日付けの 日本経済新聞の「メディカル NOW」欄に、「止まらぬ 高齢者施設での 虐待」が報道されて いた。 「殴る・蹴る」(64%) 「無視」(33%) 「介護放棄」(17%) という内容だ。 虐待の要因は、 「教育、知識、介護 技術の理解 不足」であるという。 しかし、脳の働き方の 観点からみると、 本当の原因は 「顔を見ない、目を見ない」 「自分の顔を見せない」 にある。ここを改善すれば 高齢者の虐待はなくなる。
今の介護業界でも医療業界も、「認知症」(痴呆症)とは「体験を忘れることだ」と定義している。 この「体験を忘れる」とは「さっきの食事を忘れる」とか「身近な人の顔、名前を忘れる」といったことだ。 中核症状という。
認知症(痴呆症)の中核症状に、人それぞれの「周辺症状」があると説明されている。 周辺症状はものすごくたくさんある。 目、耳の神経症(白内障、緑内障、突発性難聴など)、嫉妬妄想、物盗られ妄想、自分はイジメられている(被害妄想)、行動障害(つくり話、作話症、仮性作業、ゲーム、マンガ依存など)などだ。
これは、脳の働き方と言語学と言語理論を理解しない人には全く理解しえないことなのだが、日本人は、「体験」というものを初めから学習しないのだ。 「体験」と「経験」という言葉があるが、この二つは内容も意味も全く違う。 「体験」とは、筆順、言葉の意味、本の正しい読み方、文や文章の正しい書き方、推移律、帰納、演繹などの思考の方法、説明の仕方、などのことだ。 日本人はこれらのことを「内扱い」(ウチ扱い)によって拒否し、学習を否定する。 つまり、「体験を忘れる」といっても、初めから学習していないのだから「忘れる」ということが成り立つはずもない。
この「体験を学習しない」ことがつくるのが「周辺症状」である。 不適応や不適合などの病理症状は全て認知症(痴呆症)の「周辺症状」なのである。
この「周辺症状」の柱とも土台になるのが「相手の顔を見ない、目を見ない」というものだ。 「相手の顔、目を見ない」中で「話す」そして「聞く」。
この「相手の顔、目を見ない」中で「話す」「聞く」から「妄想をしゃべる」ときには「相手の顔、目を見る」。 これは、「笑い声を出しながらしゃべる、聞く」だろう。 そして「嫉妬妄想」「関係妄想」を話すときは、「相手の目」をニラみつけながらしゃべる。 共通するのは、「言葉」のもともとの正しい意味を打ち壊し、踏みにじり、粉々(こなごな)に粉砕するということだ。 |