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日本語は、自分の気持ちを言い表すしくみになっている。 誰もが、自分の気持ちをしゃべっていると思い込んでいる。 これが認知バイアスという社会不適応と分かって幸せになった物語
わたしは、縫製の仕事をしています。何かを作るというのが好きです。6年もつづけています。 わたしは、この仕事しかできないとおもっています。 友だちもいないし、職場で話す人もいないからです。 人と何を話していいのか分からないので、じっと、もくもくと縫製の仕事をして生きていくしかないのかなとおもっています。
わたしも、いろんな人とたくさんおしゃべりをしたいのです。 次から次へと、思いつくままにどんどん話せば、きっとおもしろいだろうね、とおもいます。 わたしも、初めて会う人とは、変な人だと思われないように気を遣って、笑顔もあらわしてスラスラとしゃべれるのです。 だんだんしゃべるのがめんどうになります。 話をしないことに慣れているので、何を話せばいいの?とおもいはじめます。 そして、話をしようとしなくなります。
わたしの家族は、母親と弟の3人です。父親は小学2年生のときに、脳に出血が起こって亡くなりました。ずっと3人で暮らしてきました。地方の田舎なので、まわりに家らしい家もなく、遊び友だちもいませんでした。親戚の付き合いも少なかったので、家に訪ねてくる人もいませんでした。 家の中でずっと過して、外に出ることもなかったのです。 人と話をする経験が少なかったので、人と話をしないことに慣れていったのだと思います。
NHK・TVドラマで、失語症になった医師の物語をやっていました。天才外科医の男性が、ある日、脳出血で倒れます。一命をとりとめてみると、失語症になっていました。 言語機能回復の訓練士の女性が、リハビリをおこないます。 話し手の言うことはよく分かっている、でも、話すことができないだけ。 「あ、あ」とか、「これは」という発語がやっと、です。 同僚の外科医たちがCTスキャンで脳内を診ると、右脳の言語野がひどく損傷しています。 「これじゃ、カムバックどころか、社会復帰もムリだね。話せないんじゃ社会不適応だ」。
わたしは、脳出血を起こしたのではありません。 「レビー小体型の認知症」でもありません。手足が震えることもなく、うつ病になることもないからです。「レビー小体」があれば、脳の細胞に「レビー小体」という丸い物質が出来るので、幻覚や幻聴も起こるといいます。 そういう症状もありません。 「レビー小体」タイプの認知症は、老齢期に入ると発症するといいます。わたしはまだ20代です。 |